堅実な写実をもって昭和新写実時代を支え、日本洋画壇の重鎮として活躍した中村研一。画家中村の眼は何をとらえ、そこにどのような視線を向けたのでしょうか。
「絵画の真実」そして「ほんとうの線」について繰り返し語った中村はまた、裸婦像のモデルを「手本」と呼んでいました。情に流されず真摯に造形と向き合いつつも、一方では夫人や愛猫といった親しい存在を何度も描いています。今回は館蔵品のなかから、中村が好んで描いたテーマを紹介し、それぞれのモチーフに注がれた、厳しくもときに暖かい「画家のまなざし」に着目します。
当館は、財団法人中村研一記念美術館から、小金井市立はけの森美術館として生まれ変わり3年目を迎えます。戦災で東京代々木から当地へ居を移した中村は、はけの森の湧水と豊かな緑を愛し、終生この地で作品を描き続けました。夏から秋へ、「美術の森」の折々の季節とともに、当館のコレクションをお楽しみください。