横尾忠則(1936年 兵庫県西脇市生まれ)は現代日本を代表するアーティストであり、アートの境界を侵犯して、絵画とグラフィック・デザインの二つの領域で優れた活動を展開してきました。
近年、毎年のように開催されている横尾忠則展の中にあって、本展は、横尾の芸術を、「冒険」という親しみやすく、かつその本質に迫る切り口で紹介するものです。ここでいう冒険の意味するものは、ふたつの面を含んでいます。一つは、ターザンや少年探偵団といった、血湧き肉躍る冒険物語をテーマにした作品群であり、もうひとつは、表現上、冒険精神にあふれ、創造性の高い作品です。こうした内容と形式の両面にわたって横尾芸術の魅力を伝えます
新作を数多く出品し、彼の作品に親しんだ鑑賞者にも新鮮な内容にするとともに、旧作の各シリーズについても、「冒険」のいくつかのサブ・テーマのもとに据え直し構成します。また、1960-70年代のグラフィック・デザインの原稿、下書き、構想デッサンなど(初公開を含む)を精査のうえ紹介し、さらに、反復、コラージュ、夢、名画の本歌取りといった小コーナーを設け、作家の創造の臨場感をお伝えします。