本展では、印象主義の画家ルノワール(1841-1919)、それに続く新印象主義のシニャック(1863-1935)、マルケ(1875-1947)やドンゲン(1877-1968)、デュフィ(1877-1953)などのフォーヴィスムの画家たち、また20世紀のパリで色彩の追求に生涯をささげた画家ギアマンへと、20世紀フランス画壇の色彩表現の軌跡をたどる。また、西洋絵画の影響を受けながらも、独自の表現をなした萩谷巌(1891-1979)や木村忠太(1917-1987)などの日本人画家の作品も展示され、色彩表現の多様性が楽しめる。
西洋の絵画史における19世紀、写真の発明と普及のなかで、自らの存在意義を問い直された画家たち。彼らの表現は、単に写実的なものから、自らの感性に基づいたより芸術的な表現へと向かう。そのなかで、色彩への関心は高まっていった。
まず、固有色の概念の呪縛から放たれたのは、印象派の画家たちである。彼らは、ものを包む光や大気の存在を、明るい色彩で描き出した。更に、原色を多用した強烈な色彩と激しいタッチによるフォーヴィスムの画家たちが登場すると、色彩のバランスや対比などが強く意識されるようになった。その後も、色彩は洗練度を増したり、個性化の道を歩みながら、多様に模索され続けている。本展では、明るく華やかな色彩表現を獲得した20世紀絵画の魅力を心ゆくまで楽しみたい。