19世紀末以降ドイツでは、急激な経済成長のもと多様なポスターが制作され、新たな情報媒体として近代的なポスターに対する関心が高まりました。それまでの「絵画的ポスター」に代わって、美的でありながら瞬時に内容を伝達する「広告ポスター」は商業活動と結びつき、新しい芸術分野としてすそ野を拡大していきました。
本展では、ドイツの近代ポスターの先駆けとなった世紀末の「転換期」、ベルリンやミュンヘンなどドイツの諸都市でポスター芸術が花開いた「黄金期」、「第一次世界大戦中」、その後、台頭したさまざまな「新潮流」までを展観し、一連のドイツ・ポスターの魅力を幅広く紹介します。またその活動が日本で広く紹介された「六人組」や「カルピス」の国際懸賞募集ポスター、杉浦非水と「七人社」の作品や資料を通じ、ドイツのポスターが同時代の日本に及ぼした影響とその受容、さらにその展開を多角的に検証します。