永和九年(三五三)暮春の初め、王羲之は会稽山陰(浙江省)の蘭亭に名士を招いて詩会を催しました。この詩会の序文を王羲之が揮毫しました。これが王羲之の最高傑作として知られる蘭亭序です。
蘭亭序を熟愛した唐の太宗皇帝は、崩御に際して蘭亭序を陪葬させたため、蘭亭序の原本は存在しません。太宗が生前に作らせた模本や拓本は、これを元に次々と拓本が作られ、宗時代には夥しい拓本がありました。蘭亭信仰とでも言うべき状況の中で作られた蘭亭序の各種の拓本とともに、さまざまな形でその影響を受けた歴代の作例を陳列いたします。王羲之の傑作の残影が後世に与えた奥深い影響の一端を、どうぞご高覧ください。