古来、女性はしばしば、芸術家を創造へとかき立てる霊感の泉となり、多くの画家たちが女性を描くことに精魂を傾けてきました。
明治以降は、上村松園、鏑木清方、伊東深水といった美人画を得意とした画家をはじめ、多くの画家たちがそれぞれの時代の、もしくは画家自身の理想的な女性美を追求しています。一方、より現実的な女性像を求めて、目に見える美しさよりも内面世界や個性を描き出そうと努めた画家もおり、近代における女性表現は多彩な広がりを見せています。
本展では、上村松園はじめ女性を描くことに心血を注いだ画家の作品86点を一堂に展示し、近代の日本画家たちがどのようなまなざしを女性に向けてきたかを紹介します。それぞれの画家の女性に対する思いにふれながら、あでやかで優美な、また時には個性的でリアルな女性像の数々を心ゆくまでどうぞお楽しみください。