財界人として活躍した渋沢敬三(1896~1963)は、民俗学の発展にも大きく寄与しました。彼は戦前に「近世経済史博物館」の設立を構想し、江戸後期から明治にかけての経済発展を跡づける資料の収集を進めました。この構想は戦後も「日本実業史博物館」として続けられましたが、ついに実現しませんでした。この幻の博物館のために彼が収集した資料は、生前、文部省史料館(現、国文学研究資料館)に寄贈されています。
今回の展示は、「日本実業史博物館」が具体的にどのような構想で収集準備を進めていたのかを見直し、同博物館の「製紙」部門の実像に迫ることを目的としています。