人間の不可思議な精神作用がもたらす夢、あるいは人々の日常生活に潜む無意識を照らし出す二人の若手作家、倉本麻弓とフジタマをご紹介する展覧会です。
倉本麻弓(1976~ )は、自らの夢で何度も訪れている「夢のまち」で起こった様々な事件を、10cm四方の小さな箱のなかに立体的に再現する作品を制作しています。箱の小さな穴から夢の場面をいくつものぞいて歩くうちに、私たちは、夢の迷宮へと果てしなく誘い込まれていくことでしょう。本展では、新作を含む「夢のまち」シリーズと、夢のなかで出逢った重要なモチーフ「カラス女」の立体作品、さらに倉本の作品をもとに制作された映像(制作:小野塚沙織、鈴木敏也、茂木薫)により、展示スペース全体を彼女の夢のまちへと変貌させます。
フジタマ(1971~ )は、好奇心と観察眼のアンテナでキャッチした日常のすきまに入り込み、無意識や固定観念を覆す独特のワールドを、切り紙やオブジェのインスタレーション、映像などに展開しています。本展では、神棚をくばるパフォーマンスの映像《くばる人》や、映像《かぞくのゆめおうこく》とそこに登場する国立民族学博物館の所蔵資料によるインスタレーションに加え、館林を舞台とした新作映像《たてばやしのゆめおうこく》(2007年)が出品されます。「分福茶釜」のタヌキの逸話が伝わる茂林寺や、キツネの尾に導かれたという館林城の伝説が残る当地の日常風景は、作家の眼を通してどのような物語に生まれ変わるでしょうか。
群馬県東部、旧城下町の館林-過去と現代とが交錯するこの土地で、二人の「まち」と「おうこく」の新たな「夢伝説」が紡ぎ出されます。