このたび竹喬美術館では、開館25周年を記念して、この四半世紀の蒐集成果を皆様にご報告する所蔵品と寄託品による、小野竹喬の名品展を開催します。
竹喬が昭和54年(1979)5月10日に89歳で亡くなったのち、それまでの笠岡青年会議所を主とする「郷土の誇り 竹喬館を建設しよう」という運動が各方面の後押しを得て、昭和57年10月1日に「笠岡市立竹喬美術館」開館として結実しました。この本館の建設、また平成13年3月の新館建設にいたる経緯は必ずしも順風満帆とはいえませんが、いついかなる時でも笠岡市民の温かな励ましを得て、今日の充実した竹喬美術館が形成されました。
美術館建設の構想発足時にはわずか18点の所蔵品を擁するだけでしたが、小野家ご遺族の絶大な協力により今日では竹喬作品が970点に及んでいます。
この中には、《島二作》(大正5年)、《仲秋の月》(昭和22年)、《樹間の茜》(昭和49年)など竹喬の75年間の画業を物語る代表作が数多く含まれています。
今回の企画は、竹喬芸術に一貫して流れる「ほのぼのと温かく、清く澄んだ詩心(しごころ)」を当館の誇る珠玉の数々により味わっていただくものです。
100点の本画(完成作)と60点のスケッチ、さらに60点の挿絵を前後期に分けて展示いたします。わずか25年の歩みともいえますが、竹喬美術館の歴史のひと区切りを冷静に見直し、さらなる展開を皆様方と一緒に期すことができれば幸いです。