ノルウェーを代表する芸術家として19世紀末から20世紀にかけて活躍したエドヴァルド・ムンク(1863-1944)は、近代人の孤独や頽廃を描いた象徴主義的作品によって、広くわが国でも親しまれている。この展覧会は《不安》(1894年)、《絶望》(1893-94年)、《別離》(1896年)、《声/夏の夜》(1893年)、《赤い蔦》(1898-1900年)といった人間の内面に沈潜するかのような代表作品の数々に加え、彼が生涯に渡って手がけつつもこれまでわが国で紹介される機会があまりなかった建築物の装飾絵画を大きく取り上げる。本展は、ムンク芸術を装飾との関連で読み解こうとするものであり、彼が自作をどのように見せようとしていたのかを視野に入れ、彼本来の意図のもとに作品を展示しようとする世界初の試みとなるであろう。