気が散る、空気、雰囲気など、「気」がつく言葉は日常生活でも多く使われています。それらに共通する「気」とはどういうものなのでしょうか。
気象・空気・大気のように自然現象に関する大きなもの、気勢・元気といった生命の原動力となる勢いを表すもの、気質、気持ちなど心の動きや状態を表すもの、また霊気・雰囲気のように、その場を包み、漂うと感じられる感覚的なものなど、「気」は様々な意味をもっています。
つまり、目にはみえないあいまいなものでありながら、私たちはそれを感じている、生命の根元、生命の不思議にかかわるエネルギー体のようなものといえるかもしれません。
一方、彫刻家はさまざまな素材を用い、彫刻という目に見える形を通して、自らの考えや想いといった目に見えないものを表現しています。素材と向き合い制作する中で、作品に宿っていく「気」というものもまたあるのではないでしょうか。
「気・カタチが宿すもの」と題した本展では、旭川市彫刻美術館が所蔵する1,100点を超える作品の中から「気」という言葉をキーワードに、「内と外の気」「人の気配」「不在の気配」の3つのセクションによって形に宿る「気」を紹介します。形をとおして、作品が発する気、作品に宿る気、場に漂う雰囲気などを鑑賞しよう、楽しんでみようというものです。