横山大観ら近代日本画家のパトロンであり、白洲正子に古美術を指南した人物として、いま改めて注目すべき細川侯爵家16代・細川護立(1883~1970)は、国内外の優れた美術品を蒐集した稀代のコレクターでもあります。なかでも中国美術は護立にとって思い入れが深く、書画はもとより陶磁器、出土品に至るまで幅広く蒐集しています。
蒐集に際しては即断即決、「細川ミラー」の名で世界的に著名な「金銀錯狩猟文鏡」(国宝)も「みたとたんに気に入つてそれを手に入れた」というものです。また、墳墓の出土品であるため鑑賞の対象となっていなかった唐三彩にいち早く注目したところには先見性が表れています。本展では展示と併せて、覚書や対談記録など護立自身の言葉で蒐集にまつわるエピソードを紹介し、護立の優れた鑑識眼や、美術に寄せる思い、「殿様」とあだ名された大様な人柄にも触れていただけるような内容となっています。展示総点数65点。会期中、一部展示替を行います。