敦煌出土裂は、大谷光瑞の中央アジア探検でもたらされたものの一部です。残欠になっているものが多い中で、幡など形を推測できるものも遺っており貴重です。とりわけ裂などの種類は豊富で、同時代の正倉院などの染織品同様、夾纈(きょうけち)をはじめ描絵(かきえ)、綾(あや)、錦(にしき)、綴織(つづれおり)、刺繍等さまざまな技法がみられます。
「敦煌出土裂 Ⅰ」では幡関係の作品を展示しましたが、今回は描絵の作品を陳列いたします。描絵は筆のようなものがあれば、顔料や染料を含ませて自由に描くことができるので、描き手の個性があらわれます。平絹や綾に唐草風の文様を流麗に描いたものや、身近に咲いているようなかわいらしい草花文をあらわした幡足の残欠も含まれています。
<主な出品作品>
淡縹地唐草文描絵平絹 製作地=中国甘粛省敦煌 唐時代・8~9世紀
淡縹地唐草文描絵綾 製作地=中国甘粛省敦煌 唐時代・8~9世紀