21世紀に入り、利川(韓国)、鶯歌(台湾)、岐阜(日本)の3地域で、陶芸専門の展示施設が相次いで開設され、国際的な規模のコンペティションが行なわれるようになりました。この数年間に、世界中の陶芸愛好家らが訪れ、陶芸家らも行き交うようになり、それぞれのやきもの文化はリアルタイムで発信されつづけ、活況を呈しています。このような状況に対応するように、今後の更なる発展と協働、共存を目的として、財団法人世界陶磁エキスポと台北県立鶯歌陶磁博物館、岐阜県現代美術館は陶磁文化交流プロジェクトを開始し、最初の一歩として、それぞれのやきものの現況を紹介する巡回展を開催することにしたのです。
論争やゲームで決着が付かない場合、西欧社会では、コイン投げという「裏か表か」の二社択一の方法で決定します。しかしアジアのこどもたちの間でも行なわれているジャンケンは、グー・チョキ・パー。相手次第で、勝ちにも負けにもなり、また「あいこ」になる場合もあります。共存の方法としてのジャンケン・コードを選択し、そして今回の巡回展のタイトルを「じゃんけんぽんの考え方-勝ち負けのない共存」としたのです。
純粋な造形志向の作品、伝統的な技術による作品、食文化が反映された実用性のある作品、ライフスタイルの変化に伴うデザイン作品など、年齢、性別、志向にこだわらずやきものの混沌とした様相を紹介します。作家の選出には、各地域とも、3施設のキュレーターがそれぞれの地域を訪れて、作家にインタビューし決定しました。既に準備段階から多くのコミュニケーションが取られています。
巡回展による3施設からの発信は、アジア伝統芸術文化であるやきものの現況と、アジアに根ざす補完関係のあり方を世界に示す機会となるでしょう。