今年度、栃木県立美術館が改修工事で一時休館しています。そこでこの機会に、栃木県立美術館所蔵の名品により18・19世紀の仏英の絵画、版画、挿絵本の115点を「都市のフランス 自然のイギリス」の視点からご紹介いたします。
産業革命後、イギリスでは自然への眼が開かれ、風景画家ターナー、コンスタブルが活躍します。フランスでは革命後、ブルジョワが台頭して風景や風俗を描く絵画を求め、やがて印象派が登場してきます。また、この頃より印刷物が大量に出版され、フランスではドーミエなどの諷刺画に大都市パリの生活が活写され、幻想味あふれるロマン主義の挿絵本も隆盛を誇ります。一方19世紀後半、繁栄するイギリスでは高い芸術性をもつ絵本の黄金時代を迎えます。
出品作品を通して、英仏の近代民衆社会の発展を比較し、また現代に通じる近代的感性を見出して頂けることでしょう。