「私は41歳のときにモンサヴォン石鹸の雌牛のおっぱいから生まれた」
フランス、そして世界を代表するアフィシスト(ポスター作家)であるレイモン・サヴィニャック(1907-2002)は、長い下積みの後、40歳を過ぎて制作した《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/50年)のポスターによってようやく表舞台の光を浴びた遅咲きのグラフィックデザイナーです。以来2002年に94歳で永眠するまで、商業広告のポスターを中心としたグラフィックデザインに精力的に取り組み、1000点以上の作品とともに、20世紀のデザイン史に大きな足跡を残しました。
本展は、大阪のサントリーミュージアム[天保山]が所蔵するサヴィニャックのポスターコレクションから選りすぐった96点の作品により、彼の長い人生と画業を振り返る本格的な回顧展です。
おりしも今年2007年はサヴィニャック生誕100年の年。デジタル全盛の21世紀のいま、数十年前のアナログなサヴィニャックの作品が人気を博しています。なぜでしょうか?
サヴィニャックのポスターがアイデアの表現として「わかりやすさ」と「クールさ」の絶妙なバランスを兼ね備え、いまなお斬新で刺激的だからでしょう。またそれ以上に、サヴィニャックのポスターに癒されたり、元気をもらったりする体験を多くの人がしている、あるいはそのような体験を求めているからではないでしょうか。サヴィニャックは人に驚きと楽しみ、そして感動を伝えるためにポスターを描きました。彼の人へのあたたかな眼差しに気づくとき、私たちの心に優しい気持ちと元気が湧いてくることでしょう。あなたもエスプリの効いたサヴィニャックのポスターを楽しんでみませんか?