兵庫県のやきものというと、六古窯の一つに数えられる丹波焼が著名です。しかしその他にも多彩なやきものが県内で作られていたことは、意外と知られていません。江戸時代中頃以降、全国各地に京都や有田の制作技術を導入した窯が興るようになりますが、兵庫県内各地でも陶磁器生産が盛んになりました。
当館所蔵品の中心となっている「田中寛〈たなかかん〉コレクション」は、全但〈ぜんたん〉バス株式会社社長の田中寛〈たなかひろし〉氏(1904~81)が昭和41年に創設した、(財)兵庫県陶芸館からの寄贈および購入による、総数約900件にのぼる全国有数の兵庫県内産陶磁器のコレクションです。
今回の展覧会では、館蔵品だけではなく、新たに出現した初公開作品を加え、三田焼・王地山焼・明石焼・朝霧焼・東山焼・出石焼・珉平焼の作品計30件をご紹介します。この機会に、兵庫県のさまざまなやきものに親しんでいただければと思います。