四季のうつろいの中に植物や鳥獣を描く花鳥画は、東洋絵画の大きな一角を占めてきました。日本では近世に多様な展開をみせ、中世以来の伝統を受け継ぐ狩野派、優れたデザイン感覚を発揮した琳派、自由な筆づかいで本質にせまる文人画家、また徹底した観察から独自の写実表現に到達した画家などが輩出しました。今回は住友家寄贈のコレクションより、京画壇をにぎわせた伊藤若冲や呉春の優品をふくむ江戸時代の花鳥画を紹介します。
さらに、彼らに刺激を与え続け表現の源ともなった中国の花鳥画、ことに長崎に滞在した沈南蘋の代表作をはじめ明清時代の華麗で重厚な作品をあわせて展示します。
花鳥画の豊かな表現、そして根底にながれる造化の美への感動に、ひととき触れてみてください。