「臨床美術」はアートの制作行為を通じて、脳を活性化し、アルツハイマー病改善と予防にアプローチするものです。約10年前から始まったこの取り組みは、科学的にもその効果が立証され、高齢化社会への対応に迫られる地方自治体で積極的に取り入れられるとともに、各地の病院でも実践が始まっています。 臨床美術の現場では、ガイド役を務める専門家、臨床美術士がアルツハイマー病の人々と真剣にコミュニケーションを重ねながら、作品を制作していきます。その過程を通じて生まれた作品は、固定概念にとらわれない自由な感性に溢れています。アートは、大切なコミュニケーションの手段であり、そしてすべての人々が日常生活を営んでいくうえで不可欠なものであることを、臨床美術は私たちに再認識させてくれたのです。 展覧会『アルツハイマー・カフェ ~臨床美術が問いかけるもの~』では、臨床美術を約十年間にわたり実践してきた芸術造形研究所の協力を得て、アルツハイマー病の人々が臨床美術を通じて制作したアート作品、そして臨床美術士の作品を展示します。