古代の貨幣(かへい)、つまり昔のお金といえば、金貨・銀貨・銅貨といった金属製の貨幣がまず思い浮かびます。古代の地中海世界、西アジア、中央アジアなどでは、円形の金貨・銀貨が多数つくられました。しかし、古代中国で多数を占めたのは銅貨で、その形が多様であることに特色があります。
中国で銅貨が発達したのは春秋(しゅんじゅう)・戦国(せんごく)時代(前8~前3世紀)で、さまざまな形の銅貨が作られました。秦(しん)・漢(かん)時代(前3~後3世紀)には、四角い穴の空いた円形の銅貨が用いられ、この形が近代にいたるまで続きました。
今回の特集陳列では、中国の春秋時代から漢時代までの銅貨と、それらの鋳造(ちゅうぞう)に用いた鋳型(いがた)、そしてこれまでの研究の歴史の中で、古代中国の貨幣ではないかとされた資料を展示します。