「うまく書こうと思ったことはないが、うまくいくこともあり、うまくいかないこともあるんですよ。『へたも絵のうち』ってわたしがいったのは、へたでも、うまくても絵は絵だっていうことで、いい絵か悪い絵かは、見る人が見ればわかるんじゃないですか。」と熊谷守一は自著の中で語っています。
超俗の人、画壇の仙人と呼ばれた守一は1880 年、岐阜県付知町で生まれ、1977 年に亡くなるまで約70 年にわたって絵を描き続けました。守一が好んで描いた題材は、子供、木の実、小さな虫たち、猫など普段の何気ない情景です。単純な線と色彩で描かれた作品は私たちが忘れがちな出来事を暖かい心をともなって思い出させてくれます。
本展では熊谷守一の没後30 年を記念して、初期から晩年までの油彩作品100 点に日本画などを加え、過去に開催された熊谷守一展では紹介できなかった作品も含め150 点程度の作品を展覧します。