夏休みの特別企画として、子どもをテーマにした「子どものいる情景」展を開催いたします。
かつて子どもは「七つ前は神の子」と言われて大事に育てられ、7歳過ぎると「小さな大人」とみなされて大人に混じって働きました。本展では子どもを描いた作品を選び、日本画だけでなく、油彩画も含め約40点を展示いたします。上村松園の《折鶴》では、日本の伝統的な折り紙遊びに興じる若い娘の、その一心に鶴を折る姿が愛らしく描かれています。
一方、パリから戻ったばかりの小出楢重が《子供立像》で描いた長男の姿は、西洋風な家具調度と調和したちょっとハイカラな洋装の男の子であり、そこにはやさしい親の視線が感じられます。それぞれの作家の個性あふれる「子ども」を見る視線、子どものいる情景の表現の違いにご注目ください。
子どもが子どもらしく快活に遊びに興じることができるのは、まわりの大人たちが愛しみ、大事に守っているからこそでしょう。また、子どもたちは深い愛情を感じているからこそ、安心して伸び伸びとしていられるのです。そのような子どもたちの姿を見ることができるのは、私たち大人の喜びでもあります。ぜひこの機会にご夫婦、ご家族でご鑑賞いただければ幸いです。