『死せる魂』は、近代ロシア文学の生みの親ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)の小説です。表題の『魂』とは農奴(封建時代のロシアで地主の所有物となっていた農業労働者)のことで、死亡した農奴の戸籍を集めて一財産を作ろうとする詐欺師と住民たちのだましあいを喜劇風に描写した傑作です。
20世紀美術の巨匠マルク・シャガール(1887-1985)は、版画集制作の依頼を受けて自らこの小説を選び、銅版画で96点組の作品にまとめました。よく知られている華やかな色彩をともなったシャガールの画風とは異なり、単色の線による表現で登場人物や場面の特徴を際だたせた作品を作り上げています。
今回はその全作品を一挙に展示します。シャガールの版画をとおして、ゴーゴリの名作に楽しんでいただきたいと思います。