安宅コレクションは、大阪市立東洋陶磁美術館の中核をなす韓国・中国陶磁のコレクションであり、東洋陶磁のコレクションとして世界第一級の質と量を誇ります。この安宅コレクションが住友グループ21社から大阪市に寄贈され、当館がその収蔵・展示施設として昭和57年に開館してから本年で25年目となります。
安宅コレクションとは、かつての安宅産業株式会社が収集した美術品コレクションで、韓国・中国を主体とする陶磁器コレクションがその中心でした。この安宅コレクション形成にあたって指導的役割を担ったのが元取締役会長・故安宅英一氏(1901-1904)です。安宅コレクションは、安宅英一氏の研ぎ澄まされた鑑識眼と自らの美的価値観に対する妥協のない完璧主義によって生まれたコレクションであり、氏なくして安宅コレクションは築かれなかったでしょう。安宅英一氏は美術のみならず音楽にも造詣が深く、戦前から日本の音楽界におけるパトロン的存在として多大な功績を残しました。美の真髄を全身全霊の真摯さで求め続けた安宅英一氏の姿はまさに“美の求道者”と呼ぶにふさわしいものでした。安宅コレクションは、安宅英一氏が提示した一つの美の価値基準ともいうことができます。
展示点数:約200点
主な出品作品
国宝・飛青磁花生
龍泉窯 元時代・13~14世紀 高27.4㎝
東洋陶磁美術館蔵(住友グループ寄贈)
国宝・油滴天目茶碗
建窯 南宋時代・12~13世紀 径12.2㎝
東洋陶磁美術館蔵(住友グループ寄贈)
青花辰砂蓮花文壺
朝鮮時代・18世紀 高44.6㎝
東洋陶磁美術館蔵(安宅英一氏寄贈)
展示内容
第Ⅰ部 安宅コレクションの形成
第1期(草創期)第2期(発展期)第3期(成熟期)第4期(整理期)
第Ⅱ部 安宅英一好み
融通無碍(ゆうづうむげ)の選択[仮称]
第Ⅲ部 安宅コレクションの小品
同時開催:常設展「東洋陶磁の展開」
李秉昌コレクション韓国陶磁、日本陶磁約30点