ポップ・アートは、「ポピュラー・アート」つまり「大衆の芸術」という言葉をルーツとした美術です。その言葉の通り、広告や、コミックブック、映画など、これまで美術のテーマになるとは考えられていなかった大衆の身近にあるイメージを作品の中にとり入れたポップ・アートは、1960年代のアメリカで開花し,またたく間に世界の都市へと広がっていきました。近年、再び大衆文化や既存の美術作品のイメージを借用し、それをコンピュータグラフィクスや写真技術、印刷技術などを駆使して表現する美術が登場し注目を集めています。
本展覧会では、1960年代のポップ・スターであるロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホルから、80年代に世界中のアイドルとなったキース・へリング、そして現在活躍中のヴィック・ムニーズ、マリーナ・カポス、デイヴィット・ラシャペルなど、43作家131点により、戦後の美術界をリードし続けるアメリカの戦後美術の一断面をご紹介いたします。
ポップアートとは・・・
60年代ポップアート
作品の主題は、スーパーマーケットに売っているもの、広告、マンガ、映画、等々身近にある物ばかり。芸術というと高尚でわかりにくいものと考えていた人たちにとって、わかりやすいテーマが描いてあるアートは、とても親しみやすいものと感じられました。
ポップ・アーティストたちは、版画の技法を使って制作することが多かったので、同じ作品を同時に沢山制作することが出来、比較的安価であったポップ・アートの作品は世界中に広まっていきました。
ポップ・アーティストたちは、当時流行していたロック・ミュージックのレコード・ジャケットのデザインをしたり、詩人や映画監督と交流したり、美術だけではなく幅広い文化全体を巻き込んだポップ・カルチャームーブメントを巻き起こしました。
80年代以降のポップ・アート
町中に落書きを描くことから始まったキース・ヘリングなどのグラフィティと呼ばれるアートは、まさに大衆のなかから生まれたアートで、若者たちの人気を呼びました。グラフィティは、ヒップ・ホップ・ミュージックと結びついて、アメリカの新しい文化を生み出しました。
コンピューター・グラフィクスや、写真を使った現代的な感覚にあふれた作品は、カラフル、そしてファッショナブルで、アメリカのポップ感覚にあふれています。