日本のみならず海外の寄木細工を約20年に渡り収集する寄木細工研究会会長、金子皓彦氏の収集品は、約1万5千点という膨大な数に及び世界一の個人コレクションと言っても過言ではありません。寄木細工の歴史は、古く奈良時代に遡り、正倉院御物の「木画(もくが)」にもその原点が見られます。江戸時代には静岡の漆工芸として発展し、その後、箱根寄木細工の名称で観光客を中心にその存在が広く知られることとなりました。匠たちが巧緻な手わざを駆使して木の精に向かい綾なして結晶した寄木細工は、木という素材の温もりと美しい木目が織り成す様相のリズムにより、多くの人々の心に訴える工芸品として今日でも高い評価を得ています。 本展は、金子氏のコレクションより江戸・明治時代から現代にいたる、ライティング・ビューロー、飾棚、箪笥、文箱、碁盤など選りすぐった逸品約50点を展覧します。