東京国立博物館で展示される歌舞伎衣裳はちょっと趣向が変わっています。成人男性の役者ではなく、女性の歌舞伎役者・坂東三津江(ばんどうみつえ)が使用していたものだからです。大奥は男性が容易に出入りすることができませんでしたが、それでも歌舞伎を見たいという将軍や大名の奥方や息女のために、女性の歌舞伎役者が活躍しました。今回は桜の季節にちなんで、第11代熊本藩藩主細川斉樹夫人、蓮性院(天明5年<1785>~文久元年<1861>)の前で演じられた『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』の衣裳のほか、坂東三津江の歌舞伎衣裳の中から桜をデザインした衣裳を展示いたします。歌舞伎衣裳ならではの大柄で鮮やかな色彩が奏でるあでやかな世界をお楽しみください。