高岡で盛んな金属工芸分野から、今期は彫金を特集し、近代史と技法を概観します。
彫金とは、金属製の器物の表面に文様を彫ったり(毛彫、片切彫など)、ほかの金属を嵌め込んだり(象嵌)する技法です。当館は、明治期の金工作品を多数所蔵しており、細密な花鳥や人物図案を見ることができます。大正から昭和戦前の彫金作品は、明治時代のように図案が器全面を覆うことはなく、図柄が整理されて具象の中に新工夫がみられます。戦後、日本伝統工芸展が発足し、昭和35年(1960)から公募制となると、高岡から多数の作家たちが出品して一勢力をなしました。作家たちの交流の中から高岡様式(スタイル)ともいえる幾何学文様の世界が展開されてきたのです。
郷土で制作された彫金の名作の数々を、ぜひご鑑賞ください。