ペンシルベニア州南東部に位置するフィラデルフィアは、アメリカがヨーロッパの植民地から独立する際に、もっとも重要な役割を果たした都市です。1776年7月4日、フィラデルフィアの州議事堂において独立宣言が採択されました。1787年には、この地で憲法が制定され、現在に至るアメリカ合衆国が誕生します。
1876年、独立100周年を記念して、アメリカ初となる万国博覧会が開催されました。
美術展会場として使われたメモリアル・ホールは、博覧会終了後も、美術館として公開されることとなり、フィラデルフィア美術館の130年を超える歴史が始まります。
アメリカの未曾有の繁栄を享受し、先見の明をもって近現代美術の収集に情熱を注いだ多くの個人コレクターの寄贈により、豊かな美術コレクションの礎が築かれました。現在では、中世、ルネサンスから現代に至る25万点の充実したコレクションを誇るアメリカ屈指の美術館として知られています。なかでも、ヨーロッパとアメリカの近現代絵画は、第一級のコレクションとして世界中の美術ファンを魅了してやみません。
本展では、19世紀のコロー、クールベにはじまり、印象派を代表するモネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌを経て、20世紀のピカソ、カンディンスキー、マティス、デュシャン、シャガール、ミロ、マグリットにいたるヨーロッパ絵画の巨匠たち、さらにホーマー、オキーフ、ワイエスなどのアメリカ人画家を加えた47作家の選りすぐりの名作77点を一堂に展示、最も多彩でダイナミックな展開をみせた19世紀後半から、20世紀の西洋美術史の流れをたどります。
アメリカ独立の息吹を伝える古都、フィラデルフィア。この珠玉のコレクションは、アメリカの富と繁栄の象徴であると同時に、そこで育まれた美の遺産の豊かさと奥深さを雄弁に物語っています。今回、京都と東京におきまして、「フィラデルフィア美術館展」を開催できますことは主催者として望外の喜びです。膨大な作品群から精選された西洋絵画の巨匠たちの名作の数々は、日本の美術ファンの心を捉え、魅了することと確信しています。