当館ではこれまで「子どものための美術展」において、子どもたちが積極的かつ能動的に美術作品に関わるための企画を展開してきました。平成7年には視覚の原点ともいうべき“光”をテーマに様々な作品を紹介し、また平成10年には“みる”ことを総合的に捉えた展覧会を実施し、想像力の土台となるべき“体験”につながるワークショップも重視しました。当館としては3回目の「子どものための美術展」であり、21世紀のはじめにもあたるこの展覧会では、表面的な美しさや技術にとどまらず、作品や作者の“内面”を取り上げます。内面・心といった形のないものを捉えるきっかけとして“表情”に焦点を当て、作品に込められた精神や作品が表す心情を考えます。 顔をはじめとして、様々な感情や身体にあらわれた表情、描き方や造形要素によって表現される心情・精神などを、ユーモラスな表現や誇張された表現から精神性のにじみ出る表現まで、段階を踏みながら構成します。ファインアートに限らず伝統芸能や民族など幅広い分野の作品も交えながら、子どもたちの想像力を育てようとする展覧会です。