優れた童話作家であり詩人である宮沢賢治の文学性の高さは、世界的に評価を得ていることはいうまでもなく、今日なお賢治作品を題材にした数々の出版物が、後を絶たないことからもあきらかです。なかでも賢治童話は、子どもから大人まで幅広い年齢層に愛され、それぞれの年代に応じたイメージ世界へと誘ってくれます。これは賢治の描く物語が、視覚的幻想空間を想起させ、未知の空想世界へと扉を開いているからにほかなりません。これまでも多くの絵本作家やアーティストが、彼の文学に触発され、絵本をはじめとして、視覚表現を試みてきました。その成果は、現在数多くの出版物にみることができます。
この展覧会は2部構成とし、第1部では宮沢賢治の童話や詩の直筆原稿や水彩画、書簡、戦前戦後に出版された代表的な挿絵本ほかを、第2部では、宮沢賢治の童話や詩のイメージを描いた絵本原画や絵画作品を、賢治の作品別に展示します。