1941年に撮られたある一枚の写真、チャーチル英国首相のいかめしい表情の写真は、アルメニア系カナダ人の肖像写真家ユーサフ・カーシュの名を世界中に広めました。カーシュに吸っていた葉巻を取り上げられ、憤然と睨みつけた瞬間に撮られたその写真は、第二次世界大戦下という暗く厳しい時代の空気に合致し、世界中の新聞・雑誌を飾り、切手にも使用され、世界で最も多く出版された肖像写真として知られています。本展覧会は世紀転換を迎えるこの歴史的な時期に、ヘプバーン、ヨハネ・パウロ2世、ヘミングウェイ、ピカソ、アインシュタイン、クリントン、黒澤明など20世紀を代表する各界著名人をはじめ、カーシュがレンズでとらえた、生の鼓動を伝える80人あまりの顔を通して、20世紀という激動の時代を回顧し、再検証する絶好の機会となるでしょう。