~国宝「源氏物語絵巻」があざやかによみがえる~
紫式部が『源氏物語』を書き綴ってから約1世紀後、平安時代後期(12世紀前半)に制作された現存最古の物語絵巻、国宝「源氏物語絵巻」。現在、徳川美術館と五島美術館に詞書37面と絵19面が額装の形で所蔵されています。この絵巻に対し、X線撮影や顔料分析などの科学分析が行われ、さらに平成11年よりはじまった「源氏物語」復元模写プロジェクトでは、その研究成果をもとに現代の日本画家によって復元模写が制作され、約900年前の当時の色鮮やかな絵巻がよみがえったのです。その製作過程はNHKの特集番組「よみがえる源氏物語絵巻」シリーズで紹介され、国内外で大きな反響を呼びました。本展ではこの「平成復元模写」とともに、江戸時代からこれまで制作されてきた様々な模写作品をあわせて紹介し、華麗なる王朝絵巻の魅力に迫ります。
「平成復元模写」とは
源氏物語の華やかな舞台が描かれていたはずの絵巻は、すでに色が褪せ、剥落が進み、当時の面影はありません。今回のプロジェクトでは、現代の高度な科学分析によって失われた図柄や模様が判明し、施されていた色彩が明らかになりました。そのデータをもとに、出来るかぎり当初の材料を用いて復元された「平成復元模写」は、近年の科学の進歩なくしては完成し得なかったでしょう。