20世紀美術に偉大な足跡を残した芸術家パブロ・ピカソ(1881-1973)。その多彩な創作活動の中から、版画と陶芸作品に焦点をあてた展覧会を開催します。
ピカソが版画の製作を始めたのは、彼が故国スペインからパリに出て間もない1904年のことでした。その年に製作されたのが、《貧しき食事》などを含む胴版画『サルタンバンク・シリーズ』です。「青の時代」や「バラ色の時代」として知られるピカソ初期の画風が、繊細な描線によってこれら版画作品でも展開されています。今回はキュビスムの時代を含めた初期作品から、1920年代に制作されたリトグラフ(石版画)、そして晩年のリノカットにいたるまでの代表作約30点を展示します。
またピカソは、1947年に南フランスにある陶芸の町ヴァロリスを訪ねたことがきっかけとなり、陶芸の製作に没頭し、生涯で3000点を超える作品を残しました。そこでは絵画と彫刻の要素が掛け合わされた、自由で躍動感溢れる造形が展開されました。今回はその中から約10点のエディション作品を展示します。当館寄託品によって構成される本展を通して、創造性豊かなピカソ芸術の世界を是非ご堪能下さい。