平成14年11月、47歳の若さで薨去(こうきょ-お亡くなりになること)された高円宮憲仁親王殿下(たかまどのみやのりひとしんのうでんか)は、根付(ねつけ)のコレクターとして国内外で知られていました。今回の展覧会は、殿下が長年にわたって収集された、根付と印籠(いんろう)、緒締(おじめ)を展示し、あわせて両殿下が宮中儀式で着用された装束と、女王様(にょおうさま-お嬢様)方の着用された華やかな十二単(じゅうにひとえ)、さらには殿下の撮影された写真を展示します。
今回の展示の見所は、なんと言っても殿下が収集した根付、印籠、緒締約550点が一堂に展示されることです。殿下のコレクションは今まで様々なところで展示されていますが、コレクションのほぼ全点が一堂に展示されるのは初めてです。
根付とは、江戸時代の男性が、印籠や巾着(きんちゃく)、煙草入れなどを帯に提げる際に落ちないようにするために用いた滑り止めのことです。元々は単なる滑り止めでしたが、彫刻に贅を尽くしたアクセサリーとして発達しました。根付は手の中に収まるくらいの大きさにもかかわらず、細かい彫刻を施したものが多く、「掌の世界」と呼ばれることもあります。
殿下のコレクションは、江戸時代から明治時代にかけて製作された古根付から、現代根付まで幅広いのですが、特に現代根付は海外の作家の作品も多く、多様な意匠の根付を楽しめます。
また、あわせて展示される宮中装束は、古いものではなく、両殿下や女王様のために製作された現代の宮中装束です。殿下の衣冠束帯、妃殿下と女王様方の十二単など13着を展示します。さらに、高校時代に写真部に所属されていた殿下が、お忙しいご公務の合間に撮影された作品約80点も展示します。自然や動物、人間に対する愛情と優しさに満ちあふれた作品です。