20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソ(1881-1973)は、絵画の世界だけでなく、彫刻、版画など様々な表現方法に挑戦し、そのいずれにおいても優れた独創性を発揮した芸術家として広く知られています。
ピカソが“やきもの”と出会ったのは、64才の時です。ヴァカンスで南フランスに滞在していたピカソは、やきものの町ヴァロリスを訪れ、ジョルジュ・ラミエ夫妻の工房(マドゥーラ工房)で土をこね、数点の試作品を作りました。翌年の夏、再びヴァロリスを訪れたピカソは、自分の作品が焼成されているのを見て土と炎の芸術に魅せられ、やがてヴァロリスに移り住み、本格的に“やきもの”を始めました。
本展覧会では、顔、鳥、動物、静物、風景、闘牛、神話をテーマに制作された皿、鉢、壷、陶板など約150点を展示します。今回展示されるのは、マドゥーラ工房でピカソ自身が監修し原作をもとに限定数のみ制作された作品(エディション・ピカソ)とピカソの手による母型から型抜きし、限定数だけ制作された作品(ピカソ・オリジナル・プリント)です。
自由な発想で制作された、遊び心あふれるピカソの陶器は、私たちの心を和ませ、新たな感動を与えてくれることでしょう。絵画と彫刻の2つの要素をあわせもつピカソの陶器を通して、ピカソのもうひとつの創造の世界をお楽しみください。