このたび華鴒大塚美術館では、新に収蔵した木島桜谷(1877-1938)の「田舎の秋」(6曲1双屏風)の初公開にあわせ、秋の名品展「日本の秋を描く」を開催いたします。
この桜谷作「田舎の秋」は、明治40(1907)年の第12回新古美術品展に出品されて以降、長らく所在が不明となっていたもので、このたび作品発表から約100年ぶりの公開となります。農家の風俗に取材したこの作品は、6曲1双屏風に、秋の収穫期をむかえた古きよき日本の暮らしと農村風景が活き活きと描かれています。
本展ではこの「田舎の秋」のほか所蔵する日本画の中から、秋を彩る名品の数々をご紹介いたします。墨と抑えた色調で初秋の清涼感までも見事に描いた入江波光「葡萄に栗鼠」、写実的な描写力と色彩感覚に優れた木村武山「渓間の秋」、中秋の名月が皓々と明るい武蔵野の里山の景を独自の画風で秋の風情豊かに描いた田中以知庵「武蔵野」、そして秋の山野を彩る花々を描いた前田青邨「秋の花」、上村松篁「菊」など、日本の秋に魅せられた画家たちの作品をどうぞ心ゆくまでお楽しみください。