長野県上田にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」。描き続けることを熱望しながらも戦争によってその願いを絶たれた画学生作品を集め、彼らの生の証を残すとともに私たちの生きる糧にしたいと考えた画家、野見山暁治と、その思いをうけた窪島誠一郎が全国各地を尋ね歩いて集めた作品がここにはあります。
戦地へと赴く自身の運命を見据えながらもなお、残された最後の瞬間まで命を懸けて製作を続けた若き画学生たち。慣れ親しんだ風景や愛する家族、友や恋人を描いた作品の数々は瑞々しい輝きを放ち、故郷を愛で、家族の絆を大切に思う気持ちにあふれています。また一方では絵を描きたいという彼らのひたむきな情熱は見る者の胸に迫り、激しく心を揺さぶることでしょう。
本展では、戦没画学生慰霊美術館「無言館」の全面的な協力を得て、香川県出身の川崎雅、原穣、藤川武男をはじめ、徳島県出身の岩田良二、愛媛県出身の中川勝吉、高知県出身の西岡健児郎など、四国出身者の作品を含む貴重な作品約120点と手紙などの遺品、資料を展示します。生きることに今一度、向かい合い、その大切さを改めて考えるきっかけとなることでしょう。