東京国立近代美術館は、この秋、「写真の現在3」を開催いたします。「距離の不在」(1998年)、「サイト-場所と光景」(2002年)に続く今回のテーマは、「臨界」です。
写真にとって、ことなる領域が接しあう境界面は、つねに重要なテーマとなってきました。公[パブリック]と私[プライベート]のはざま、都市の中心とその周縁のあいだ、あるいは写真という表現手段それ自体の輪郭……
その境界を超えようとするならば、大きな力が作用して、ものごとの性質はがらっと変わってしまうことでしょう。ですがそのような「臨界」に接してこそ、私たちは、世界の成り立ちの根源へと目を開くことができるのです。
今回この展覧会で紹介するのは、私たちの身の回りに存在しているさまざまなレベルの境界面に立ち、あらたな世界の輪郭を描きだそうとしている6人の写真家たちです。なにかが溶け出し、また別のなにかが像を結ぼうとしている「臨界」をめぐって格闘するかれらの仕事を通じて、きっと、写真の現在が見えてくることでしょう。