美人の背景に広がるのは、どこかでみた絵…。そう、歌川国貞が描いた「東海道五十三次之内」(竪中判56枚揃)には、歌川広重の代表作「東海道五拾三次之内」(横大判55枚揃)の図柄が引用されているのです。引用されているのは、日本橋から鳴海宿までと四日市宿の42図のみですが、この事実は、広重「東海道五拾三次之内」の、いまだ謎が多い出版背景をあきらかにするヒントともなっています。
本展覧会では、那珂川町馬頭広重美術館所蔵の歌川広重「東海道五拾三次之内」と、金馬車コレクションの歌川国貞「東海道五十三次之内」を前期後期の二期にわけて展示いたします。あらためて見比べてみると、それぞれのシリーズの意図するところが新たに浮かび上がり、同時に、当時の浮世絵界における、広重と国貞の力関係をも、みてとることができることでしょう。
2つの作品を見比べることのできる貴重なこの機会をぜひ、お見逃しなく!