実篤は、書には人物が表れると語っていますが、誰でも自筆の文字にはその人の個性が表れます。
実篤の書は、ゆったりとおおらかな印象ですが、自身は書を書くときは常に懸腕直筆で、気持ちを込めて臨みました。一方、原稿や手紙は早い筆遣いで書かれ、書きたいことが次々と浮かんだという様子を伝えています。
また、実篤と交友のあった作家・画家たちの字も、それぞれに味わい深いものがあります。
今回の展覧会では、記念館が所蔵する書作品や原稿・書簡から、実篤や、志賀直哉、岸田劉生ら白樺同人、また同じ作家でも全く作風の違う谷崎潤一郎、画家・熊谷守一ほか様々な人々の筆跡を特集し、そこから滲み出る人がらや思い、実篤との交流をご紹介します。