浮世絵は江戸庶民の間で人気のあった歌舞伎役者やファッション、名所風景など時の流行を伝達する情報メディアとして普及し、大衆の趣味や嗜好などを反映しながら人情味豊な作品を数多く生みだしてゆきました。そこに見られる巧みな画面構成や色彩表現は斬新であり、わが国独立自の芸術として今日でも高い評価を得ています。
本展では、道中の風光や旅情を伝える歌川広重の名作《東海道五拾三次》(保永堂版)、《五十三次名所図会》(縦絵東海道)と・飾北斎の《東海道五十三次》(小判)のシリーズ全作品を展示します。また、喜多川歌麿とその流れを汲む絵師たちの美人画、東洲斎写楽の役者絵、風景画の革命児である・飾北斎の《冨獄三十六景 凱風快晴》などの名作をはじめ、幕末の開港地横浜の風俗を描いた「横浜絵」、伝奇小説や怪談をテーマにした「妖怪絵」、洒落とユーモアに溢れる“だまし絵”等、バラエティーに富む浮世絵216点を一堂に展示します。