樋勝朋巳(ひかつ・ともみ)は1969年に長野県松本市に生まれ、1993年に多摩美術大学美術学部デザイン科を卒業後、デザイン会社での勤務を経たのち銅版画製作に専念してきました。1998年に神戸版画ビエンナーレ展で神戸新聞社賞を受賞、2000年にはさっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展でスポンサー賞を受賞し、2005年には岡谷市のイルフ童画館で個展が開催されました。
ユーモラスな人物像や不思議なモチーフが淡くおだやかなパステルカラーで描かれたエッチング作品を手がけてきましたが、2004年より2年間にわたり信濃毎日新聞で連載された内山節氏のコラム「哲学の構想力」の挿画では、モノクロームの表現に取り組んできました。それまで自分自身と向き合いながら製作してきたとういう作者にとって、新聞の挿画をつくるということは、作品をとりまく様々なものと対話することでもあったのではないでしょうか。
本展では、102点におよぶ「哲学の構想力」挿画を中心に、カラーエッチング作品をあわせ、樋勝朋巳の作品世界を紹介します。「哲学の構想力」挿画は会期中に展示替えします。
前期6月16日(金)~7月25日(火)
後期:7月27日(木)~8月29日(火)