今日の具象絵画の世界でAkismをモットーに最もパワフルな制作活動を続けている女性芸術家、それが遠藤彰子さんです。
遠藤さんはいわゆる「団塊世代」として1947年東京に生まれました。1970年代から女流画家展や二紀展など国内の著名な美術団体展で受賞を重ね、今日ではその作品が多くの美術教科書に採用されています。
1986年、迷路的な不思議な空間に多くの子供たちを配した「遠い日」で、第29回安井賞を獲得。この作品における不思議な時空間に登場する子供たちは、誰もが幼いころに体験した好奇心や恐怖心、そして自由さや一抹の不安の影といったものを、人々に強く喚起させます。
遠藤さんの多くの作品には、こうした不思議な時空間がしばしば描かれ、私たちに幼いころの風景や無垢な感覚、何か懐かしいような<遠い日の世界>を思い出させてくれます。
また同時にその芸術は、すべての生命の限りない力強さを、飽くことなく讃えています。それは絵画の世界において、いわば超バロック的とも言えるような独特な<豊饒さ>を伴ってきわめて個性的に表現され、その作品のスケールも、外形的にも内容的にもますます大きなものとなって、人々を圧倒し続けています。
本展は、こうした活力溢れるAkismの世界・遠藤彰子の絵画作品を系統立てて紹介するもので、500号・1000号・1500号という、めくるめくような巨大油彩画の世界にご案内いたします。
また、本展では、新聞連載小説・篠田節子『讃歌』の原画も展示いたします。