中世の日本列島には、中国産の青磁・白磁をはじめとする数多くの輸入陶磁器がもたらされていました。こうした輸入陶磁器は、国産陶器にはない華麗な色彩や光沢によって、中世の人々の生活空間を彩る道具として広く愛好されていました。
当時の民衆社会では、「寄合」と呼ばれる水平的な関係で結ばれた集会が催されており、「寄合」の中で、能・狂言や茶、花、香、連歌などの芸能が育まれていきます。同時に、こうした芸能の場として、武家・公家・僧侶らの住宅には「書院造」という様式が形成されることになります。
華麗な質感をもつ輸入陶磁器は、この「書院造」を飾る道具として利用されるようになり、伝統的な日本文化の形成に重要な役割を果たすことになります。
今回のスポット展示では、当館が収蔵する中国産陶磁器や、草戸千軒町遺跡から出土した陶磁器(重要文化財)などを紹介し、中世における輸入陶磁器の特質を探ります。