1925年(大正14年)に制作されたクレヨンとパステルの特性を兼ね備えた新しい画材、クレパスは、子供から大人まで身近な描画材として親しまれ、愛用されてきました。発色がよく、重ね塗り、混色、盛り上げなどが可能で油絵具と同じようなタッチで描けることから、戦後、高価な油絵の具に手が届かなかった画家たちに注目され、油絵に劣らない作品が描かれたことはあまり知られていません。
本展では、文化勲章作家や日本芸術院会員など、戦後の洋画壇を彩った近代洋画の巨匠たちの昭和20年から30年代に描かれた作品を中心に、大胆で自由な創作意欲をかきたたせるこの画材の持つ魅力に、作品を通して迫ります。