近代陶芸史に偉大な足跡を残した富本憲吉の、生誕120年の記念展を開催いたします。
富本は、明治19年(1886)奈良県生駒郡安堵村の旧家の長男として生まれました。東京美術学校図案科で建築および室内装飾を学び、卒業と同時にロンドンに留学。多くの感化を受け帰国後、盟友となるバーナード・リーチと出会います。そして陶芸熱の昂じたリーチの影響で自らも楽焼を始め、故郷奈良で陶芸の道を歩むこととなります。その後東京での作陶生活をへて、京都へ居を移し77年の生涯を終えました。その間、楽焼に始まり染付、白磁、色絵とあらゆる陶芸技法をものにし、ついに華麗な金銀彩の技術を生み出し、昭和30年(1955)重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定されました。また富本は、模様の作家として知られています。有名な「模様から模様を造らず」という信条を胸に、身近な風景や草花などのスケッチをもとに独自の模様を創作することに生涯をかけました。
このたびは奈良県立美術館の全面的なご協力により、陶芸作品約100点と書画を展示、常に新しい陶器を作り出すことを使命と考えた、近代陶芸の巨匠富本憲吉の生涯を顕彰します。