■4人の作家、「過去」と「現在」の対峙
毛利武士郎(1923-2004)、村岡三郎(1928- )、草間彌生(1929- )、河原温(1933- )。1930年前後に生まれた彼らはいずれも、50年代にデビューして以来、現在まで質の高い制作を続けてきた、戦後日本の美術を代表する作家たちです(毛利は2004年に逝去)。このたび東京国立近代美術館では、当館のコレクションを中心に、これら4人の作家の初期作と、80~90年代の近作をあわせてご紹介します。
■1人の作家、2つの時代
それぞれの作家の2つの時期の出品作は、いずれも高い完成度を有したものですが、両者の間には30~40年近くの時間の経過があり、一見すると全く異なる方向性を目指しているようにも感じられます。たとえばモティーフや素材の選択、あるいはそれぞれの作品が制作された時代性の差異などを挙げることができるでしょう。しかしながら、2つの作品の併置は、両者の間を「切断」するさまざまな要因と同時に、1人の作家の強靭な造形意志の「持続」をも浮かび上がらせる、刺激的な対話を生み出すことになるでしょう。
■1つの時代、4人の作家
4人の作家は同じグループに属したり、深い交友関係を結んでいたりするわけではありません。むしろ、それぞれ「孤高の作家」という印象が強い4人です。しかし出品作品を、1950年代というまとまり、あるいは80~90年代というまとまりから見てみるならば、作風のかなり異なる作家たちでありながらも、作品の背後に横たわる、1つの「時代性」を興味深い形で看取することができるでしょう。
【アーティスト・トーク】
アーティスト:村岡三郎(彫刻家)
6月9日(金) 18:30~19:30
参加無料(要観覧券)、申込不要