イタリア・ルネサンス~バロックの名品約60点を展覧。ボッティチェリの師匠、フィリッポ・リッピの祭壇画は必見!
★フィレンツェに挑戦した都市“プラート”の物語
プラートは、イタリア中部トスカーナ州にある繊維産業で有名な小さな都市です。14世紀には、プラートから南東15kmほどに位置する大都市フィレンツェの脅威にさらされ、市内の聖堂は北西のピストイア教区からの独立を悲願としていました。政府は、町のシンボルである聖母の帯に関する美術作品を発注し、市民の団結と愛郷心を高めようとしました。その結果、17世紀にはピストイアと対等な教区に昇格し、1992年にはフィレンツェから独立、プラート県となったのです。
本展では、約60点の美術作品とともに、ひとつの都市の歴史を紐解きます。
★ プラートに伝わる聖母マリアからの贈り物
プラートには、聖母マリアが身につけていたとされる帯が伝わり、大切に保管されています。そのため、聖母に守られている町として、特に聖母崇拝に関わる芸術作品が数多く制作され、教会や政庁を彩ってきました。大都市フィレンツェにつねに脅かされてきたプラートにとって、マリア信仰と美術は愛郷心を育み、人々の心を結束させる町の重要なシンボルだったのです。 本展では、聖帯伝説をはじめマリアにまつわる物語を描いた作品や優しく慈愛にあふれた眼差しを見せる聖母像を数多くご覧いただけます。
★初期ルネサンスの巨匠 フィリッポ・リッピ
プラートは、市の聖堂を飾る壁画を依頼するため、当時フィレンツェで人気を博していたフィリッポ・リッピ(1406-69年)を招聘しました。リッピが46歳から13年の歳月をかけて完成させた大聖堂壁画は、彼の代表作といえます。
リッピの作品の魅力は、いきいきとした人物表現や優美で繊細な線描にありますが、それらは当時弟子であったボッティチェリに影響を与えています。
リッピの作品は傷みやすい板絵や壁画が多いため、日本で見る機会は限られていますが、今回は状態の良い板絵3点が初来日することになりました。また、代表作であるプラート大聖堂の壁画も写真や映像でご紹介します。