関根伸夫《位相-大地》は、1968年に開催された神戸須磨離宮公園現代彫刻展に出品された作品です。大地に直径2.2m、深さ2.7mの円筒形の穴を掘り、掘り出された土を穴と同じ円筒形に積み上げた作品です。会期終了後、掘り出された土は穴に戻され、作品は姿を消しました。その後、この作品は「もの派」と呼ばれる重要な動向の起点になった作品として高く評価されるようになり、日本の戦後美術を代表する重要な作品として位置付けられています。
今回のプロジェクトは、これまでほとんど発表される機会のほとんどなかった関根伸夫の初期作品(1960年代の油彩画、ドローイング、半立体レリーフ作品)、《位相-大地》の記録写真とコンセプト・ドローイングからなる版画作品(1986年制作)、そして、このプロジェクトのために新たに制作される映像版《位相-大地》により、伝説的な作品となった《位相-大地》が生まれるまでの思考と制作の軌跡を辿ります。